マイクロ法人とは?社会保険料が下がるしくみ
マイクロ法人とは、従業員を雇わず、自分ひとりで運営する小さな法人のことです。
個人事業を続けながら別に法人を設立し、法人から自分に役員報酬を支払います。
役員として社会保険(社保)に加入する形です。
社保の保険料は役員報酬の額で決まります。
そのため、報酬を低く設定すれば保険料も低くなる、というしくみです。
家族を扶養に入れられる、厚生年金に加入できるといったメリットもあります。
マイクロ法人のデメリット6つ
マイクロ法人のデメリットは、お金と手間の両方がかかり続けることです。
保険料が下がっても、ほかのコストで相殺されてしまうケースも少なくありません。
【デメリット①】設立費用がかかる
法人の設立には、登録免許税や定款の認証手数料などの法定費用がかかります。
最低額の目安は次のとおりです。
| 株式会社 | 合同会社 | |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 15万円 | 6万円 |
| 定款認証手数料 | 3万〜5万円 | 不要 |
| 定款の印紙代 | 4万円(電子定款なら不要) | 4万円(電子定款なら不要) |
| 合計 | 約18万〜22万円 | 約6万〜10万円 |
司法書士に手続きを依頼すると、別途報酬がかかります。
【デメリット②】赤字でも法人住民税がかかる
法人住民税には「均等割」があり、利益が出ていなくても毎年納める必要があります。
資本金1,000万円以下・従業員50人以下の法人なら、最低でも年7万円です。
ほとんど売上のないマイクロ法人でも、固定費として発生し続けます。
【デメリット③】税理士費用がかかりやすい
法人の決算・申告は、個人の確定申告よりずっと複雑です。
自分でこなすのは難しく、税理士に依頼する人が多いでしょう。
【デメリット④】法人と個人の二重管理になる
法人口座・会計帳簿・社保の手続き・役員報酬の決定など、事務作業が2倍になります。
本業に使える時間が減る点は、見落とされがちなデメリットです。
【デメリット⑤】事業を切り分ける必要がある
法人で行う事業と、個人で行う事業は明確に分けなければなりません。
事業の実態がない法人を使った社保加入は認められないので、注意が必要です。
【デメリット⑥】制度変更の影響を受けやすい
2026年3月18日、厚生労働省は「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」という通知を出しました。
法人の役員として社保に加入するには、経営に参画する実際の業務と、その対価としての継続的な報酬が必要だと明確にされています。
形だけの役員就任や、実態に見合わない低い報酬では、社保の加入が認められないおそれがあります。
設立した後に前提が崩れると、費用だけが残るリスクもあるでしょう。
【比較】マイクロ法人と個人のOSHIGOTO
法人を作らずに社保に入りたいなら、正社員雇用型のサービスという選択肢があります。
個人のOSHIGOTOは、フリーランスを正社員として雇用し、社保に加入できるようにするサービスです。
| マイクロ法人 | 個人のOSHIGOTO | |
|---|---|---|
| 法人設立 | 必要 | 不要 |
| 加入の立場 | 役員 | 正社員(従業員) |
| 決算・申告 | 法人と個人の両方 | 個人の確定申告のみ |
| 家族の扶養 | 可 | 可 |
| 毎月の負担 | 保険料+税理士費用・法人住民税など | 実質65,500円(39歳以下の目安) |
マイクロ法人が向いている人・向いていない人
マイクロ法人は、将来的に法人化を考えている人に向いています。
向いている人
- 法人で行う事業の実態がある
- 節税も含めて、法人化を検討している
- 決算や事務作業を負担に感じない
向いていない人
- 社保に入ることだけが目的
- 事務作業に時間を取られたくない
- 固定費を増やしたくない
向いていない側に当てはまるなら、法人を作らない方法を検討しましょう。
ほかの方法は「フリーランスが社会保険(社保)に入る方法5選」で比較しています。
マイクロ法人についてよくある質問
- マイクロ法人は違法?
- 違法ではありません。ただし、法人として事業の実態があり、役員として実際に経営に関わっていることが前提です。
- マイクロ法人は赤字でも費用がかかる?
- かかります。法人住民税の均等割は赤字でも毎年納める必要があり、最低でも年7万円です。
まとめ:社保が目的なら、法人を作らない方法も比べよう
- マイクロ法人は、役員報酬を抑えて社保に加入するしくみ
- 設立費用・法人住民税・税理士費用・事務負担がかかり続ける
- 事業の実態が必要で、制度変更の影響も受けやすい
- 社保だけが目的なら、正社員雇用型のサービスも選択肢
※本記事は一般的な制度の解説です。法人設立や税務・社会保険に関する個別の判断は、税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。