社会保険(社保)とは?国保との違いを比較

社会保険(社保)とは、会社員が加入する「健康保険」と「厚生年金」のセットのことです。

フリーランス・個人事業主が加入するのは、国民健康保険(国保)と国民年金。
どちらも「病気やケガ」「老後」に備える制度ですが、しくみは大きく異なります。

国保+国民年金社保(健康保険+厚生年金)
保険料の決まり方前年の所得と加入人数給与の額
保険料の負担全額自己負担会社と本人で折半
家族の扶養なし(人数分かかる)あり(追加負担なし)
将来の年金国民年金のみ国民年金+厚生年金
傷病手当金原則なし(一部の国保組合を除く)あり
出産手当金原則なし(一部の国保組合を除く)あり

いちばん大きな違いは、保険料が「事業の所得」ではなく「給与の額」で決まること。
事業の所得が増えても、社保の保険料は給与が変わらない限り上がりません。

フリーランスが社保に入る4つのメリット

社保に入る最大のメリットは、保険料の負担を抑えながら、家族と老後の保障を厚くできることです。

【メリット①】家族を扶養に入れられる

条件を満たす配偶者や子どもは、扶養に入れても保険料が増えません。
国保では家族の人数分かかっていた保険料が、まるごと不要になります。

【メリット②】厚生年金で、将来の年金が増える

国民年金に厚生年金が上乗せされ、老後に受け取る年金が増えます。
配偶者も第3号被保険者になれば、自分で国民年金保険料を払う必要がなくなります。

【メリット③】病気・出産時の手当がある

病気やケガで働けないときの「傷病手当金」、出産で休むときの「出産手当金」が受け取れます。
国保には原則ない保障なので、収入が途絶えやすいフリーランスには心強い制度でしょう。

【メリット④】事業が伸びても保険料が上がらない

社保の保険料は給与で決まるため、事業の売上が伸びても保険料は変わりません。
所得が高い人ほど、国保との差が大きくなります。

フリーランスが社会保険に入る方法5選

フリーランスが社保に入るには、「会社に雇用される」「法人をつくる」「家族の扶養に入る」のいずれかが必要です。

個人事業主本人は、自分の事業で社保に加入できません。
そのため、次の5つの方法から選ぶことになります。

【方法①】会社に雇用される(就職・兼業)

企業に就職する、またはパート・アルバイトとして兼業し、勤務先の社保に加入する方法です。
パート・アルバイトの場合、2026年9月時点では次の条件をすべて満たすと加入対象になります。

2025年の法改正により、賃金の条件は撤廃され、企業規模の条件も2027年10月から段階的に縮小される予定です。

確実な方法ですが、週20時間以上の勤務時間が必要です。本業の時間が削られる点がデメリットになります。

【方法②】正社員雇用型のサービスを利用する

個人のOSHIGOTOのように、フリーランスを正社員として雇用し、社保に加入できるようにするサービスです。

法人を設立する必要はなく、今の個人事業はそのまま続けられます。
役員ではなく従業員としての加入なので、手続きの負担も最小限です。

個人のOSHIGOTOの場合、実質負担は月65,500円(39歳以下の目安)。
家族を扶養に入れても、この金額は変わりません。

【方法③】マイクロ法人を設立する

自分ひとりの法人を設立し、法人から役員報酬を受け取って社保に加入する方法です。
役員報酬を低く設定すれば、保険料も抑えられます。

一方で、設立費用・法人住民税・税理士費用などのコストがかかります。
法人と個人の二重管理になるため、手間も増えるでしょう。詳しくは「マイクロ法人のデメリットとは?」で解説しています。

【方法④】役員(理事)就任型のサービスを利用する

一般社団法人などの理事に就任し、少額の役員報酬を受け取って社保に加入するサービスもあります。

ただし2026年3月18日、厚生労働省が「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」という通知を出しました。
役員として社保に加入するには、経営に参画する実際の業務と、その対価としての継続的な報酬が必要だと明確にされています。

通知では、次のようなケースは社保の対象にならないとされました。

この通知を受けて、サービス終了やしくみの変更が相次いでいます。
利用中・検討中の人は、加入が取り消されるリスクがないか必ず確認してください。

【方法⑤】家族の扶養に入る

配偶者などが会社員なら、その健康保険の扶養に入る方法もあります。
保険料はかかりませんが、年間収入130万円未満などの条件があります。

事業である程度稼いでいる人には、現実的ではない方法です。

【比較表】5つの方法の手間と費用

個人事業を続けながら手間を抑えたいなら、正社員雇用型のサービスが有力です。

方法手間費用個人事業向いている人
①就職・兼業勤務時間が必要なし時間が減る時間に余裕がある人
②正社員雇用型少ないサービス利用料そのまま手間をかけたくない人
③マイクロ法人多い設立・維持費一部を法人へ法人化も検討中の人
④理事就任型少ないサービス利用料そのまま最新状況を確認できる人
⑤家族の扶養少ないなし収入制限あり収入が少ない人

自分に合う方法の選び方

まずは「今の国保と国民年金がいくらか」を知ることが、方法選びの第一歩です。

社保に切り替えても、単身で所得が低めの人は負担が変わらないこともあります。
反対に、次のような人は切り替えの効果が大きくなりやすいです。

国保の金額の目安は、「国保が高い個人事業主へ|保険料を下げる対策7選」の早見表で確認できます。

国保以外の選択肢として、業種ごとの国保組合や、退職後に前の会社の健康保険を続ける「任意継続」もあります。
ただし、どちらも年金は国民年金のままです。

フリーランスの社保についてよくある質問

フリーランスは自分の事業で社会保険に入れる?
入れません。個人事業主本人は、自分の事業所の健康保険・厚生年金に加入できないためです。
社会保険に入っても、個人事業は続けられる?
続けられます。雇用型のサービスや兼業なら、個人事業との両立が可能です。なお、事業の確定申告は引き続き必要になります。
社会保険に入ったら国保はどうなる?
自動では脱退されません。社保に加入してから14日以内に、お住まいの市区町村で国保の脱退手続きを行ってください。

まとめ:フリーランスでも社会保険に入れる

  • 社保は保険料が給与で決まり、家族の扶養や厚生年金もある
  • フリーランスが社保に入る方法は、雇用・法人・扶養の大きく3系統
  • 個人事業を続けながら手間なく入るなら、正社員雇用型のサービス
  • まずは今の国保・国民年金の金額を知ることから始めよう

※本記事は一般的な制度の解説です。個別の税務・社会保険に関する判断は、税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。